四ツ谷にあるチベット料理の店に行った。去年からずっと、この店で要予約の鍋料理「ギャコック」が食べたくて仕方なかったのだ。
この鍋料理は4人以上じゃないと予約できないため、顔見知りだったり何かしらの共通点があったりする上でチベット料理に関心を持っている人を3人集めるのに苦労した。
他の人に比べると私はいろんな個性的な人を受け入れやすいらしく、結果、周りに魑魅魍魎、とまでは言わないけれど実に多種多様な人が集まってしまう。そして友人には「岡本が紹介する人間は信頼しない」と言われてしまうほど、人と人を繋ぐのが下手くそなのだ。
それでも、今回の鍋会はうまく良い感じの人たちを繋げることができたのでは?!と思う。みんな穏やかで優しい性格に加えて、インドやチベットが好きだったり珍しい料理に興味があったり西荻窪で飲んでいたり、という共通点があった。
ギャコックというチベットの鍋料理は、鶏肉や豚肉のつみれや羊肉などいろんなお肉と共にキノコや野菜をいただくものらしい。出汁スープがとにかく絶品で、優しめのスパイスが香るバター豚骨スープのよう。この絶品スープが余ってしまうのがもったいなくて、米を追加で頼んで雑炊にして締めた。このへんがどうしても日本人である。
チベットのどぶろくのようなお酒も美味しかった。「チャン」というらしい。マッコリに似ているけれど、ラッシーのような酸味もうっすらある。アルコール度数は低いのかもしれないが、美味しくてすいすい飲めてしまうので、逆に危険な気も。四ツ谷で酔っ払って青梅まで寝過ごす危険性を踏まえ、セーブしつつ楽しく飲んだ。

食後、みんなで駅まで歩く。来た道のはずなのに見知らぬように感じるのは、やけに街が暗いからなのか。
そのうち、夜の街に流れる真っ暗な川に突き当たる。川の真ん中にやや明るい駅が寝そべっていて、そこに光を連れて電車が滑り込んできた。黄色い車体と相まって、なおいっそう光がにぎやかに見える。黒い川は滑らかだった。滑らかに電車の光を反射し、辺りが明るく照らされる。そうこうしているうちに、きらきらと光を反射しながら電車が立ち去れば、先ほどより暗く見える駅が相変わらず寝そべっていた。
そしてやっと気づく。ここは市ヶ谷駅だ、と。私は四ツ谷駅から来たのだった。正真正銘、見知らぬ道を歩いていた。


